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子宮外妊娠と漢方の関係性|治療後の体質改善と妊娠しやすい身体づくり2025.09.03

子宮外妊娠と漢方の関係性|治療後の体質改善と妊娠しやすい身体づくり

はじめに

妊娠を望む女性にとって「子宮外妊娠」はとても不安の大きい出来事です。妊娠が成立した喜びの後に突如として訪れる診断や治療は、身体的にも精神的にも大きな負担となります。

子宮外妊娠は医学的に「緊急性の高い疾患」であり、手術や薬物療法など西洋医学による治療が必須です。その一方で、治療後の回復期や再妊娠に向けて「体を整える方法」として漢方に関心を持つ方も少なくありません。

本記事では、子宮外妊娠の基礎知識から、治療後に役立つ漢方の活用法、体質改善や再発予防の養生法までを詳しく解説します。


子宮外妊娠とは?

発生の仕組み

妊娠は、卵子と精子が出会い、受精卵が卵管を通って子宮内に到達し、内膜に着床することで成立します。ところが、卵管の途中や卵巣、腹腔内など「子宮以外」に受精卵が着床してしまうことがあり、これを**子宮外妊娠(異所性妊娠)**と呼びます。

主な原因とリスク因子

  • 過去の卵管炎(クラミジア感染など)による癒着
  • 子宮内膜症による卵管の変形
  • 不妊治療に伴う排卵誘発や体外受精
  • 喫煙習慣
  • 過去の骨盤手術や帝王切開の既往

これらがリスク因子とされており、複数の要因が重なって発症するケースも多いとされています。

症状と診断

初期には妊娠と同じように月経の遅れや軽度の出血がみられるだけで、自覚症状が乏しいこともあります。しかし進行すると、

  • 下腹部の鋭い痛み
  • 不正出血
  • 大量出血によるめまいや失神
    といった症状を起こすことがあります。診断は血中hCG(妊娠ホルモン)の測定や経膣超音波検査で行われます。

治療法

  • 外科的治療:腹腔鏡手術による卵管切開・卵管切除
  • 薬物療法:メトトレキサート(MTX)投与による妊娠組織の吸収

いずれにしても、子宮外妊娠を漢方だけで治すことは不可能であり、緊急時は必ず医療機関での処置が必要です。


子宮外妊娠と漢方の関係性

漢方が注目される理由

子宮外妊娠の経験後、多くの女性が「体力の低下」や「再妊娠への不安」「冷えやホルモンバランスの乱れ」といった悩みを抱えます。西洋医学の手術や薬は病変を取り除くことに優れていますが、その後の体質改善や心身のバランス調整については、漢方の得意分野です。

漢方でできること・できないこと

  • できないこと:子宮外妊娠そのものを治すこと、緊急時の止血
  • できること:治療後の体調回復、妊娠しやすい身体づくり、精神面のサポート

この違いを理解したうえで、補助療法として漢方を活用するのが望ましいといえます。


子宮外妊娠後に役立つ漢方処方

漢方では、人の体を「気・血・水」のバランスで捉えます。子宮外妊娠の治療後は出血や手術の影響、精神的なショックによって、このバランスが崩れるケースが多く見られます。

気血両虚タイプ

  • 特徴:疲れやすい、めまい、顔色が白い、動悸
  • 処方例:当帰芍薬散、十全大補湯

瘀血タイプ

  • 特徴:下腹部痛、月経血に塊が多い、肩こり、冷えのぼせ
  • 処方例:桂枝茯苓丸、温経湯

腎虚タイプ

  • 特徴:腰痛、耳鳴り、冷え、不妊傾向
  • 処方例:六味丸、八味地黄丸

※同じ子宮外妊娠経験者でも体質は人によって異なるため、必ず漢方医や薬剤師の診断が必要です。


妊娠しやすい身体づくりのための漢方的アプローチ

  1. 血流改善:骨盤内の血行を促し、子宮内膜や卵巣の環境を整える
  2. 冷えの改善:基礎体温を安定させ、排卵や着床環境を良好に保つ
  3. ホルモンバランス調整:自律神経の安定による月経周期の改善
  4. ストレスケア:精神的緊張を和らげ、妊娠力の低下を防ぐ

食養生と生活習慣の工夫

食事の工夫

  • おすすめ食材:黒豆、なつめ、山芋、くるみ、人参、生姜、羊肉
  • 避けたい食材:冷たい飲み物、過剰な甘い物、脂っこい料理

睡眠と休養

  • 夜更かしを避け、ホルモン分泌のピークである夜間に十分な休養を取る
  • ストレスは月経不順やホルモン異常の原因になるため、リラックス時間を意識的に設ける

適度な運動

  • ウォーキングやストレッチで血流促進
  • 下半身を冷やさない工夫(腹巻きやレッグウォーマー)も効果的

西洋医学と漢方の併用

子宮外妊娠後に妊娠を望む場合、不妊治療が必要になることもあります。その際、**漢方を取り入れることで「体を整えながら治療に臨む」**という選択肢も有効です。

ただし、服用中の薬との相互作用が起こる場合もあるため、必ず主治医や漢方専門家に相談することが大切です。


まとめ

  • 子宮外妊娠は命に関わる疾患であり、治療は西洋医学が必須
  • 漢方は「治療」ではなく「体質改善・再発予防・妊娠しやすい身体づくり」に役立つ
  • 体質に応じた漢方処方や食養生、生活習慣の改善が再妊娠のサポートになる

未来の妊娠に向けて、医学と漢方をうまく活用しながら、身体と心を少しずつ整えていきましょう。

執筆者

服部 雄志(国際中医師/漢方専門家)

漢方薬に関する豊富な知識と経験を持ち、不妊治療における漢方相談を多数手がける。

経済的な負担や精神的なストレスを抱える方々に寄り添い、希望を与えるサポートを行っている。

妊活・不妊治療に関する情報発信を行うライター。読者に寄り添った記事を心がけている。

著書に『母になるために大切にしたい妊活の習慣』(WAVE出版)がある。

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