産後うつ病と漢方|岡山でできる心と体のケア2025.09.02

はじめに
出産は大きな喜びである一方で、心身に大きな負担をもたらします。ホルモンの急激な変化、育児への不安、睡眠不足…。その結果として起こるのが「産後うつ病」です。
日本では産後うつ病の発症率は約10〜15%といわれ、誰にでも起こり得る身近な心の病気です。岡山でも、産婦人科や心療内科での相談はもちろん、近年は「漢方を取り入れた心身のケア」を希望される方が増えてきました。
本記事では、産後うつ病の基礎知識・漢方でできること・岡山での相談先について詳しく解説します。
産後うつ病とは?
発症時期と症状
産後1か月〜6か月の間に起こりやすく、主な症状は以下の通りです。
- 気分の落ち込み
- 涙もろさ
- 不眠・疲労感
- 食欲の低下
- 赤ちゃんに関心が持てない
- 強い不安感や自責感
これらが2週間以上続く場合は、産後うつ病の可能性があります。
西洋医学的な治療
- 精神療法(カウンセリング)
- 抗うつ薬の投与(授乳との兼ね合いに注意が必要)
- 周囲のサポート体制の確保
漢方から見た「産後うつ病」
漢方では、産後の心身の不調を「気血両虚(きけつりょうきょ)」や「肝気鬱結(かんきうっけつ)」として捉えます。
- 出産によって血や気を大量に消耗し、心身が虚弱になる
- ホルモンや自律神経の乱れが「気」の巡りを滞らせる
- その結果、気分の落ち込みや不眠、不安などが生じる
といった考え方です。
産後うつ病に用いられる漢方薬
1. 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 特徴:イライラ、不安感、肩こり、便秘傾向
- 作用:自律神経を整え、精神的安定をもたらす
2. 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
- 特徴:不眠、動悸、緊張しやすい
- 作用:気持ちを落ち着け、不安を軽減
3. 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
- 特徴:涙もろい、情緒不安定、育児への不安が強い
- 作用:精神を安定させ、心の疲れを和らげる
4. 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
- 特徴:産後の疲労感、体力低下、冷え
- 作用:気血を補い、心身を回復させる
👉 漢方薬は「体質」と「症状」に合わせて選ばれるため、自己判断ではなく専門家への相談が不可欠です。
岡山で漢方を取り入れたい方へ
岡山県内には、産婦人科や心療内科と連携しながら「漢方外来」を設けている病院、または個人経営の漢方薬局があります。
- 岡山市・倉敷市エリア:総合病院に漢方外来が併設されているケースあり
- 地域薬局・漢方専門薬局:体質相談をじっくり行い、オーダーメイドで処方してもらえる
さらに、岡山は古くから漢方・鍼灸に親しむ文化があり、産後ケアとして鍼灸治療を併用する方も増えています。
漢方と生活習慣でできるケア
食養生
- 気血を補う:黒豆、なつめ、ほうれん草、レバー、山芋
- 胃腸を整える:おかゆ、温かい汁物、発酵食品
睡眠と休養
- 短時間でも横になれるときに休む
- 家族にサポートをお願いし、母親だけで抱え込まない
適度な運動
- 散歩やストレッチで血流を改善
- 運動が「気分転換」になり、抑うつ感を軽減
まとめ
- 産後うつ病は特別な人だけがなるのではなく、多くの女性が経験し得る疾患
- 西洋医学による治療と併せて、漢方は「体質改善・精神安定・疲労回復」に役立つ
- 岡山には漢方外来や漢方薬局が複数あり、地域でのサポート体制が整いつつある
- 無理をせず、医師や漢方専門家に相談しながら「心と体の回復」を目指すことが大切
出産は新しい命を迎える喜びの一方で、母親に大きな試練をもたらします。岡山で漢方を取り入れながら、少しずつ心と体を整え、健やかな育児生活を歩んでいきましょう。
また、大前提として、産後うつに「なってから」対処するのではなく、「ならないように」予防することが何より大切です。
そうした意味では妊娠中から産後うつ予防にアプローチすることが重要です。育児は大変なことも多いですが、同時に幸せも運んできてくれます。心身ともに健やかな育児を目指したい方は、お気軽にご相談ください。
執筆者
服部 雄志(国際中医師/漢方専門家)
漢方薬に関する豊富な知識と経験を持ち、不妊治療における漢方相談を多数手がける。
経済的な負担や精神的なストレスを抱える方々に寄り添い、希望を与えるサポートを行っている。
妊活・不妊治療に関する情報発信を行うライター。読者に寄り添った記事を心がけている。
著書に『母になるために大切にしたい妊活の習慣』(WAVE出版)がある。
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